沖縄てんかん拠点病院からのお知らせ
てんかんという病気について
てんかんとは“発作を繰り返す脳の病気”です
ここで大切なフレーズは“くりかえす発作”です。そもそも発作がなければてんかんではありません。つまり、脳波に異常があっても、MRIで異常があっても発作がなければてんかんだとはいえません。「そんなことはわかっていますよ」とおっしゃいますか?では次のような場合はどうでしょう。
“発作が1回あって、脳波異常もあった”
いかがでしょうか?・・・はい、答えはこの場合も厳密にいえばまだてんかんとはいえません。発作を繰り返して初めててんかんです。この場合私は、患者さんとよく相談したうえですが、基本的に2回目の発作があるまで診断を待ちます。以上、少しくどく説明したのは、てんかんの診断において「発作」のある/なしが重要だと言いたかったからです。
では、ここでいう「発作」というのはどういった状態のことを言うのでしょう?「けいれんでしょ」という声が聞こえてきました。その通り、「痙攣発作」は有名ですね。てんかんイコール痙攣で理解されておられる方も多いと思われます。しかし、発作は痙攣だけではありません。発作をもう少し詳しく言うと、発作とは、“自分の意志と関係なく、体や体以外が突然ある一定時間、きまった状態になってしまうこと”です。これを体の発作(痙攣)、体以外の発作(意識・記憶がなくなる)に分け、表にしてまとめてみました。
体の発作/体以外の発作 | 意識・記憶がなくなる | 意識・記憶は保たれる |
---|---|---|
体の運動がある | 例)突然卒倒して痙攣 | 例)突然片手が動き出すが、自分では止められない |
体の運動はない | 例)突然動作が止まり一点を見つめる発作、本人はそのことを覚えていない | 例)突然恐怖を感じる、あるいは何かが見える、聞こえる、臭う発作 |
付記:発作中開眼あり/なし
これを見ると痙攣は発作の一部にしかすぎず、痙攣のない発作もまたあることがわかりますね。
ところで、診察室で発作が起こることはめったにありません。したがって医者は患者さんの発作を見たことがありません。そこで発作の様子を、本人あるいは付き添いの方に聞くことになります。幸い、てんかん発作は判で押したように同じパターンを繰り返すことが多いので、この聞き取りが診断にとても重要です。ところが発作を語る方は皆、発作の説明が難しいとおっしゃいます。そこで発作語りのコツを教えましょう。それは事の起こった順に発作を話すことです。まず何が起こって、次に何が起こって、そしてその次は・・・、で最後はどうなる。その上で、全部で何分の出来事だった。これだけで完璧な説明です。発作時の動画があればさらに助かります。
てんかんとは“発作を繰り返す脳の病気”です。
最後に「脳の病気です」の部分を考えてみましょう。いままで発作のことをくどくどと話してきましたが、この発作は、脳の病気でなくても起こることがあります。したがってこの発作の原因が脳の病気であること示して初めて、「あなたの病気はてんかんです」と言えます。このために脳の検査、脳波検査やMRI検査などを受けてもらいます。すなわち繰り返す発作があって、脳波、MRIに異常があればてんかんが診断できるのです。
(文責:饒波正博)
てんかん拠点病院事業とは
平成27年に始まった厚生労働省の事業で、正式名は「全国てんかん対策地域診療連携体制整備事業」です。目的は、拠点病院を中心とした地域医療連携で、その地域のてんかん診療レベルの底上げしようとするものです。2023年時点では29都道府県で「てんかん支援拠点病院」が指定されています。
沖縄てんかん拠点病院の目標
- 1)てんかんを正確に診断する
- 2)てんかんの手術を提供する
- 3)関係機関と顔の見える連携を構築する
- 4)てんかん患者さんの生活を支援する
沖縄てんかん拠点病院2019年診療実績報告
・紹介新患者
・ビデオ脳波件数
・てんかん手術件数
沖縄てんかん拠点病院スタッフ紹介(2023年4月現在)
脳神経外科 脳神経外科部長
廣中 浩平Hironaka Kouhei
- ■ 専門分野
- ・脳神経外科一般、てんかん
- 定位脳機能手術
- ■ 所属学会・資格など
- ・日本脳神経外科学会
- ・日本てんかん学会
- ・日本脳卒中学会
- ・日本定位機能神経外科学会
- ・日本脳神経外科学会指導医・専門医
- ・日本てんかん学会指導医・専門医
- ・日本脳卒中学会専門医
- ・日本定位機能神経外科学会認定医
【 趣 味 】子供と虫取り
脳神経外科 てんかんコーディネーター
饒波 正博Noha Masahiro
- ■ 専門分野
- ・脳神経外科、てんかん
- ■ 所属学会・資格など
- ・日本脳神経外科学会専門医・指導医
- ・日本てんかん学会専門医
- ・沖縄てんかん拠点病院責任者
- ・医学博士
【モットー】稽古不足に幕はまたない治療はいつでも初舞台
【 趣 味 】ラジオDJ、サンシン(民謡)
小児科
比屋根 真彦Hiyane Masato
- ■ 専門分野
- ・小児神経専門医
- ・てんかん専門医
- ■ 所属学会・資格など
- ・日本小児科学会
- ・日本小児神経学会
- ・日本てんかん学会
脳神経内科 脳神経内科部長
嘉手川 淳Kadekawa Jun
- ■ 専門分野
- ・認知症
- ・痙縮
- ■ 所属学会・資格など
- ・日本神経学会専門医・指導医
- ・日本リハビリテーション医学会専門医・指導医
- ・日本内科学会認定医・指導医
【モットー】顔のみえる、フェイスツーフェイスの病診連携
【 趣 味 】音楽と美術鑑賞、読書
脳神経外科
太組 一朗Takumi Ichiro
- ■ 専門分野
- ・脳神経外科
- ・てんかん外科
- ■ 所属学会・資格など
- ・聖マリアンナ医科大学脳神経外科・てんかんセンター 准教授
- ・てんかん専門医・専門医指導医
- ・VNS(迷走神経刺激療法)認定医
- ・脳神経外科専門医・指導医
- ・脳卒中専門医
- ・がん治療認定医
- ・医学博士
【モットー】どこまでも脳外科医としてのアイデンティティーを大切に
【 趣 味 】ジャズベース演奏、ダイビング
外来担当医表
受付時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 |
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午前 | 廣中 浩平 | 饒波 正博 | |||
午後 | 比屋根 真彦 | 饒波 正博 | 比屋根 真彦 | 饒波 正博 |
外来受診方法:外来は完全予約制です。地域連携室を通して外来予約をしてください。
饒波、廣中:成人てんかん 比屋根:小児てんかん