外科からのお知らせ
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内視鏡手術の専門病院として患者様に
負担が少ない優しい手術を目指して
当院では外科の中にも消化器外科(胃、大腸、肝胆膵)、呼吸器外科、乳腺外科、ヘルニアなどのその他一般外科があり、幅広い分野の治療を行なっています。外科で治療する場合は悪性腫瘍のことが多く、それぞれの専門分野の医師が対応しています。
当院の大きな特徴としては、沖縄県内における内視鏡手術の専門病院としての位置付けを確立しており、例えば胃癌、大腸癌、肺癌、肝臓癌などは基本的に患者様の負担が少ない腹腔鏡もしくは胸腔鏡手術を優先的に行なっています。内視鏡手術は従来の開腹、開胸手術に比べて痛みなどの合併症も少なく、術後の経過への影響も変わらないというデータが出ていますので各病院で推奨されている手法です。さらにガン治療専門病院として手術だけでなく、抗ガン剤や放射線なども用いてきちんと治る治療を目指しています。
今後も日々進化する技術や手法を積極的に取り入れ、患者様の負担が少ない優しい治療、そして何よりしっかり治る手術をモットーに患者様と向き合っていきます。
- 取り扱っている主な疾患
- 食道癌、胃癌、大腸癌、肺癌、肝臓癌、乳癌、胆石、鼠径ヘルニア、気胸 など
外科の特徴
治療方法と方針
当科では、基本的に「治療」を専門として行なっております。そのため、病気発見のための検査や診断は、内科や他医療施設で行われ、その治療のために外科を受診いただくことになります。当科では疾患ごとに専門医がおり、患者様の病状に併せた治療を行なっています。状況によっては琉球大学病院との連携を行うなどより良い治療を目指しています。
食道癌
食道は口から食べたり飲んだりしたものを胃まで運ぶための通路(管)です。その通路にできたガンを食道癌と言います。食道癌は60代~70代男性に多くみられる疾患(男女比は6:1)で、飲酒や喫煙といった生活習慣による慢性的な刺激が原因で発生することが分かってきました。アルコールを分解する酵素は2種類(ADH/アルコールデヒドロゲナーゼ、ALDH/アルデヒドデヒドロゲナーゼ)あり、お酒を飲んで顔が赤くなる人は1種類の分解酵素しか持っていないことが予想されます。顔が赤くなる人は、赤くならない人と比べて食道癌になる確率が増加し、喫煙をする人は喫煙しない人と比べて食道癌になる確率が高くなるため、結果として飲酒と喫煙の両方を行う人は食道癌の危険性が相乗的に高くなります。
症状・検査・治療について
食道癌は自覚症状のでにくい疾患ですが、定期的な人間ドックや検診を受けることで早い段階での診断が可能です。食道癌の症状には飲食物の通過障害、胸部痛、嘔吐、体重減少、嗄声などがあります。診断は上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)をおこない、数mm程の組織を採取し、病理検査でガン細胞の有無を判断します。さらに超音波内視鏡検査、CT検査やPET検査を行いガンの広がりや転移ついて評価します。治療方法としては、早い段階のガン(表在ガン)の場合は上部消化管内視鏡(胃カメラ)で切除し、進行したガンの場合は進行の程度に応じて手術治療、抗ガン剤治療(化学療法)、放射線治療などを組み合わせた治療を行います。
予防について
食道癌の予防として効果的なのは禁煙や禁酒(飲むお酒の量を減らす、飲む機会を減らす)です。また、食生活において食道癌の予防因子とされている果物や緑黄色野菜の摂取を心がけてください。
胃癌
胃癌は沖縄県の部位別癌死亡数で肺癌、大腸癌に次いで3位となる重大な疾患です (沖縄県地域がん登録事業)。しかし胃癌は早期に診断し治療を行えば、予後良好な疾患でもあります。胃癌の治療は、①内視鏡的切除、②外科手術(開腹手術、腹腔鏡下手術)、③化学療法の3つが中心となり、病期(進行度)に基づいて決まります。
- 外科手術(開腹手術、腹腔鏡下手術)
- 内視鏡的切除が難しい早期胃癌、進行した胃癌に対しては外科手術が行われます。ガンが胃壁内に止まりリンパ節転移がない症例、あるいはリンパ節転移が疑われるが、腫大リンパ節が胃壁に近いなど少数の症例に対しては腹腔鏡下手術を行っています。腹腔鏡下手術は、腹部に小さな穴を数カ所開けて、専用のカメラや器具で手術を行う方法です。開腹手術に比べて体への負担が少なく、術後の回復が早いことが期待されます。当院では平成14年から腹腔鏡下手術を取り入れ、内視鏡手術の技術認定医を中心としたチームで行っています。最近5年間の当院での胃癌手術の6割強が腹腔鏡下手術です。
- 化学療法
- 進行度によっては術後の再発予防を目的に化学療法を行います。また切除不能な進行ガンに対しても化学療法が考慮されます。
早期胃癌の治療成績は極めて良好です。早期胃癌はほとんど症状が無いので、年に一回はバリウム検査や内視鏡検査による検診を受けることをお勧めします。
肺癌とは?
肺癌とは、その名の通り肺にできるガンです。肺は酸素を吸って二酸化炭素を吐き出す非常に大切な臓器です。進行すれば呼吸困難になり、非常につらい病気になります。しかしながら肺癌と診断されても、手術で体の中からガンを取り除くことができれば治る病気でもあります。つまり早い時期、小さいうちに見つかれば、それだけ治る可能性が高くなります。また進行ガンでも、最近では有効な肺癌治療薬が出ております。
残念ながら、早期の肺癌に自覚症状はありません。「症状のないうち」「できるだけ小さいうち」に見つける…。それはつまり、検診で見つける事が重要だということです。
- 当院の肺癌治療の特徴
- 肺癌の手術方法には、肋骨を切って大きく胸を広げて肺を取る「開胸」手術と、1cm前後の孔(あな)を3カ所あけて肺癌を取り出す「胸腔鏡」手術があります。当院は内視鏡手術の専門病院です。胃癌、大腸癌、肺癌は主に内視鏡手術で治療します。
また、あまりにも肺癌が小さすぎる場合、手術中に病変を見つけるのが難しいため、病変を逃がさないように肺を大きく取る必要があります。当院では、見つかりにくい小さな肺癌には、手術の前に気管支カメラで印を付けてから病気の部分を最小限に取り除きます。そうすることで、正常な肺をできるだけ残すことができます。この手術は、主に呼吸器内科と連携して行っています。
- 予防について
- 肺癌の原因として、アスベスト(石綿)など工業製品が有名ですが、実は吸い込んでから肺癌になるまでには30~40年近くかかり、本人も覚えていない場合が多いです。実際、アスベスト肺癌は非常に少ないです。よって、頻度的に最も多いのはやはりタバコによる肺癌の発症で、医学的にも関連性が証明されています。ただし、世の中にはヘビースモーカーの方がたくさんいますが、もちろん全員が肺癌になるわけではありません。統計学的にタバコを吸っている人の方が吸っていない人より肺癌になりやすいという事です。結論としては、肺癌自体の予防も重要ですが、しっかり定期的に検診を受けて早期ガンを早く見つけることが最も大切だといえます。
肝臓癌
肝癌は原発性肝癌と転移性肝癌に分けられ、原発性の90%は肝細胞癌、5%は胆管細胞癌、残り5%はその他特殊型です。一般的にガンの治療は進行度(Stage)に応じて治療方針が決まることが多いですが、肝癌の中で最も多い肝細胞癌は、進行度に加え、肝機能(肝予備能)により治療方針が決まります。つまり、肝機能が悪い方が多いので、肝機能の悪さに応じて治療方針を考える必要があります。
肝癌の治療では外科切除、局所焼灼療法、肝動脈塞栓療法が3大治療法です。学会などにより治療ガイドラインが示されており、当院でも基本的にはガイドラインに沿って治療方針を決定します。
- 1 肝切除
- 腫瘍を手術により取り除く治療です。腫瘍の大きさ、場所、個数、肝機能などにより切除する大きさや方法は変わります。肝機能が悪い方は手術ができない場合もあります。最近では腹腔鏡手術で肝切除を行う場合も増えてきています。ただ、全例行えるわけではなく適応には制限があります。
- 2 局所穿刺療法
- 針を直接腫瘍に刺し、熱や薬剤で腫瘍を治療する方法です。当院ではラジオ波焼灼療法(RFA)を主に行っており、特殊な針をガンに直接刺し、通電してその針の先端部分に高熱を発生させることで、局所のガンを焼いて死滅させる治療法です。手術に比べて体への負担が少ないことが特徴で、比較的副作用も少なく短期間で社会復帰できるという長所があります。この治療は一般に、ガンの大きさが3cmより小さく、3個以下である場合が対象とされます。
- 3 肝動脈塞栓療法(TAE)
- ガンに栄養を運んでいる血管を詰める治療です。カテーテルを肝臓の中の動脈まで進め、塞栓物質で動脈を詰めます。当院では抗ガン剤をカテーテルを通じて投与し、その後に塞栓物質を注入する肝動脈化学塞栓療法(TACE)を主に行っています。ガンの個数が多くても行えるので、適応の幅が広い治療法です。
- 4 その他
- 分子標的治療薬、肝動注化学療法、放射線治療、肝移植などがありますがいずれも適応は限られています。
乳癌の特徴と治療について
乳癌は女性の癌の中で最も多く、年間7万人以上の方が新たに乳がんと診断されています。
これは実に11人に1人の方が乳癌を発症する、つまり身近な家族や友人にも乳癌になる方がいるということです。20数年前は100人に1人と言われていましたが、近年かなり急増しています。その原因としては女性のライフスタイルの変化、つまり晩婚、出産や授乳をしない方の増加、食生活の欧米化等が原因の1つとされています。また飲酒や喫煙などの嗜好品や肥満も乳癌の発症に関わっていることが分かってきました。さらに最近の医学の進歩で乳癌遺伝子(BRCA1.BRCA2)が解明され、乳癌患者さんの10%から20%にその遺伝子が関与していることが分かってきました、ただし80%以上の方はその遺伝子とは関係ないということです。
また、乳癌は他のガンと比較して若い方が発症することが多いというのも特徴の一つです。乳癌の発症のピークは50歳前後、つまり閉経前後とされています。これは他のガンと比較しても20年も早く、その時期は子どもの高校や大学進学等で母親として家庭の中心であり、共働きの多い日本の社会では仕事でも大切な役回りとなっている方が多く、社会的な影響がとても大きいと思われます。
- 検査方法
- 乳癌の検査はマンモグラフィや超音波検査がよく知られています。マンモグラフィはできるだけ乳房を薄くなるように挟む検査で、痛い、恥ずかしいという理由から多くの女性が敬遠していると聞きます。一方、エコー検査(超音波検査)は痛みが無く、妊娠授乳中や若い方、マンモグラフィは受けたくないという方にもできる検査で、実際にはマンモグラフィで精密検査を指摘された方に対してもエコーで確認することがあります。ただし、エコー検査は行う検査技師や医師の技量にかなり左右される検査です。経験豊富な技師、先生に診てもらうことをオススメします。
近年早期の乳癌の方も増えていますが、進行乳癌の方が減っていないことも事実です。どちらの検査も他のガン検査と比較して痛みも少なく、確実性も高い検査なので、定期的に受けていただきたいです。
- 治療方法
- 乳癌は早期に診断されれば、ほとんど治せる時代になりました。治療は原則、悪い部分を切除するのですが、最近は乳房を切除した後にもほぼ元のように作り直せる乳房形成術も保険診療でできるようになっています。また、早期乳癌の方であれば綺麗に乳房を残すことができる乳房温存術が可能です。さらに当院では、臨床試験を通して切らずに乳癌の治療(ラジオ波による焼灼術)を行っています。近い将来、この治療が一般診療となる日がくると思います。
乳癌の治療はホルモン療法、抗がん剤、分子標的薬などの薬物療法の発展により、治療成績が改善してきています。以前は転移再発乳癌は治らないと言われていましたが、最近の薬物療法の発展により治癒する方も増えてきています。
もちろん治療はそれなりに苦しいこともあり、経済的な負担もあります。早期に診断できればその負担もかなり少なくなります。是非とも定期的な検診を受けていただきたいです。
当院では、もし乳癌になっても精神的にも治療に関してもきちんと支えていける、そのような医療を心がけています。
肥満、糖尿病外科外来について
肥満、糖尿病手術は世界中で行われており(2014年 約579,517件)、日本では2014年に肥満手術の1つである腹腔鏡胃縮小術(スリーブ状胃切除術)が保険適応になりました。
手術適応は、18歳~65歳までの原発性肥満患者で、6ヶ月以上の内科的治療を行ったにも関わらず、十分な体重減少および肥満に伴う合併症の改善が認められなかった場合、さらに、
1)体重減少を目的とする手術: BMI 35kg/㎡以上
2)肥満に合併する疾患治療を目的とする手術: BMI 32kg/㎡以上
で、糖尿病または糖尿病以外の関連疾患を2つ以上有する。
(関連疾患:高血圧、高脂血症、高尿酸血症・痛風、冠動脈疾患、脳梗塞、脂肪肝、月経異常・不妊、睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群、運動器疾患、肥満関連腎臓病)(肥満症外科治療ガイドラインより)
診療・手術の実績
当科で施術した2022年の手術実績は以下の通りです。
消化器外科 | 169例 |
呼吸外科 | 43例 |
乳腺・甲状腺 | 117例 |
一般外科 | 204例 |
合計 | 533例 |
治療成績
外来担当医表
受付 時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 |
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午前 | 仲里 秀次(一般・食道・肥満) | 豊見山 健 (肝胆膵・一般) | 宮城 淳 (胸部・呼吸器) | 永吉 盛司 (一般・肛門) | 友利 健彦 (一般外来) |
午後 | 永野 貴昭 (琉大) 心臓血管外科 (第2火曜) | 担当医(琉大) 心臓・血管外科 (第2・第3・第4金) |
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稲嶺 進 一般・肥満外科 (第1金曜 予約制) |
※受付時間について
・初診の患者様/8:30~10:30まで(午前中のみ)
・紹介状持参および通院の患者様/8:30~11:00(午前)、13:00~15:00(午後)まで
※2024年10月07日現在の体制表です。最新情報については地域医療連携室へご確認ください。
診療医師紹介
副院長 兼 第一外科部長 兼 薬剤部長
宮城 淳Miyagi Jun
- ■ 専門分野
- ・呼吸器外科
- ■ 所属学会・資格など
- ・医学博士(肺癌とHuman Papilloma
Virusの研究)
・日本外科学会専門医・指導医
・日本呼吸器外科学会専門医・評議員
・日本胸部外科学会・九州胸外評議員
- ・日本臨床細胞学会専門医・指導医・
評議員
・日本癌治療学会認定医・暫定教育医
・日本プライマリケア学会認定医・指
導医
第二外科部長 兼 第二緩和ケア部長
豊見山 健Tomiyama Takeshi
- ■ 専門分野
- ・消化器外科
・肝胆膵外科
・緩和ケア
- ■ 所属学会・資格など
- ・日本外科学会認定医・外科専門医
・日本消化器外科学会専門医・指導医
・消化器がん外科治療認定医
・がん治療認定医
・日本DMAT隊員
・緩和医療認定医
- ・日本肝胆膵外科学会
・日本内視鏡外科学会
・日本緩和医療学会
・日本静脈経腸栄養学会
第三外科部長 兼 内視鏡部長
永吉 盛司Nagayoshi Seiji
- ■ 専門分野
- ・一般外科
・消化器外科
・肛門科
- ■ 所属学会・資格など
- ・日本外科学会専門医
・日本癌治療認定医機構がん治療
認定医
・日本消化器内視鏡学会専門医
・マンモグラフィー読影認定医
・日本消化器病学会専門医
・日本医師会認定産業医
- ・日本臨床外科学会
・日本呼吸器外科学会
・日本消化器外科学会
・日本大腸肛門病学会
・日本消化器病学会
・日本臨床肛門病学会
・日本外科感染症学会
第四外科部長
仲里 秀次Nakazato Hidetsugu
- ■ 専門分野
- ・消化器外科
・食道外科
・肥満外科
- ■ 所属学会・資格など
- ・日本外科学会専門医
・がん治療認定医
・日本救急医学会ICD認定医 - ・日本食道外科学会認定医
- ・日本胸部外科学会
・日本救急医学会
・日本臨床外科学会
・日本消化器外科学会
・日本肥満症治療学会
第二外科副部長 兼 第一緩和ケア部長
友利 健彦Tomori Takehiko
- ■ 専門分野
- ・消化器外科(主に下部消化管)
・一般外科
・鼡径(そけい)ヘルニア
・癌化学療法
・緩和医療
- ■ 所属学会・資格など
- ・日本外科学会専門医
・日本消化器外科学会認定医
- ・日本がん治療医認定機構がん治療
認定医
●セカンドオピニオンについて
当科では多くのセカンドオピニオンを受けています。セカンドオピニオンをご希望の方は「セカンドオピニオン外来のご案内」ページをご確認ください。
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